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大雪山・SOS遭難事件の真相とは?【怖すぎ】カセットテープの音声も
2019年08月16日

大雪山・SOS遭難事件の真相とは?【怖すぎ】カセットテープの音声も

「SOS」の巨大文字はいったい誰が残したものなのか――。大雪山SOS遭難事件で浮かび上がったのは「アニメ好きの青年像」。遭難当時の鬼気迫る音声、遺留品がアニメ好き青年の実像、遭難に至った原因などを、豊富な画像と詳しい解説で、わかりやすくまとめました。

死者の声に誰もが恐怖した「大雪山SOS遭難事件」

死者の声に誰もが恐怖した「大雪山SOS遭難事件」
「大雪山SOS遭難事件」と聞いて、「ああ、あの事件か!」とパッと思い出す人は少ないかもしれません。しかし「たーすーけーてーくーれー」の録音テープ事件と表現すれば、一部の年代の人たちは「なるほど、あの事件のことか!」と途端に思い出すに違いありません。

死者の声がよみがえった衝撃の録音テープ。宮崎勤の「埼玉幼女連続誘拐殺人事件」と並んで、当時のワイドショーを賑わせた「大雪山SOS遭難事件」とは一体どんなものだったのか、詳しく見ていくことにしましょう。
死者の声に誰もが恐怖した「大雪山SOS遭難事件」

「明鏡止水の心境であります」会見と同じ日に……

平成元年(1989年)7月24日、世間では、宇野宗佑首相が自身の女性スキャンダル問題と、前日に行われた参議院選挙の敗北の責任をとって、退陣表明の記者会見を開いたことが話題になっていました。会見中に述べた「明鏡止水の心境であります」のフレーズは有名です。

しかし首相会見と同じ7月24日、首相官邸から北へはるか924km離れた北海道大雪山系旭岳のふもとでは、東京からやってきた男性登山客2名の行方がわからず、ヘリコプターを使った捜索活動が展開されていました。

のちに多くの子どもたちを恐怖させた「大雪山SOS遭難事件」が、その奇妙な物語を静かにスタートさせていたのです。

シラカンバの倒木で作られた「SOS」の3文字

北海道警察の捜索ヘリコプター「ぎんれい1号」は、旭岳南方の忠別川源流付近に、明らかに不自然な人工物を発見しました。

その人工物は、シラカンバ(白樺。シラカバの呼称が一般的)の倒木をいくつも積み上げて作られた「SOS」(遭難信号)の巨大文字。北海道警はこの周辺に遭難者がいることを確信しました。

救助された男性2名――SOSは「知らない」

行方不明だった男性2名は、SOSの文字があった場所から2~3km北上した地点で無事に救助されました。

ところが、救助された男性2名は、シラカンバの倒木で作られた「SOS」の文字のことを「知らない」と答えました。遭難者を救助できて胸を撫で下ろしていた捜索隊は、他にも遭難者がいるらしいことを知り、翌日、あらためて捜索ヘリを飛ばしました。

"男女の人骨"と"男性のものらしき遺留品"

"男女の人骨"と"男性のものらしき遺留品"
捜索隊はまもなく、SOS文字の周辺から、動物に噛まれた痕跡のある人骨の一部を発見します。人骨は、血液型がO型の女性のもの、と鑑定されました。ところが、同時に発見されていた遺留品は、その所有者が男性であることを物語っていました。

人骨の再鑑定で、A型の男性が浮上

SOS発見日から4日後の7月28日、旭川医大の再鑑定で、血液型A型の男性の人骨が存在することが判明。最初の鑑定で女性の人骨の鑑定結果があったこともあり、発見された人骨は男女二人の人骨ではないかと見られました。

※DNA鑑定は当時、まだ正式に採用されておらず、人骨の身元特定は難しい時代でした。DNA鑑定の採用経緯については「足利事件」のまとめ記事をご覧ください。

怖すぎる! カセットテープの「たーすーけーてー」

怖すぎる! カセットテープの「たーすーけーてー」
遭難した男女がクマなどの野生動物に襲われて絶命したとすれば、女性の遺留品はどこに消えてしまったのか。男女は同時に遭難したのか、別々に遭難したのか。彼らは本当にクマに襲われて命を落としたのか――。

女性の遺留品がなかったことで、大雪山SOS事件は一気にミステリアスな色彩を帯びてきました。加えて、テレビ局が公開した遺留品のカセットテープは、全国の少年少女(いまのアラフォー世代)を恐怖のどん底に突き落としました。

そんな大げさな……と思われる方もいるかもしれません。次の動画で、実際にカセットテープの音声を聞いてみましょう。

大雪山SOS遭難事件の実際の音声

崖の上で身動きとれず
SOS 助けてくれ
崖の上で身動きとれず
SOS 助けてくれ
場所は初めにヘリに会ったところ
笹深く上へは行けない
ここから吊り上げてくれ
怖すぎる! カセットテープの「たーすーけーてー」
カタカタカタ(((;゚;Д;゚;)))カタカタカタ こわーい!

事件当時の少年少女は、事件に対してオカルト的な気味の悪さを感じていました。

そもそも「大雪山SOS遭難事件」が単なる遭難事件なのかどうかさえ、はっきりしない段階でした。片方がもう片方を殺し、そしてクマに襲われて絶命した、などの「殺人事件」や「無理心中事件」の可能性もあったのです。

「SOS」は過去の遭難事故の遺物だった

8年後の平成9年(1997年)、発見された人骨は「男性一人のもの」と確定しました。円の遺留品の中にあった免許証から、愛知県江南市の25歳男性会社員と判明しています。

こうして「大雪山SOS遭難事件」は、昭和59年(1984年)7月に遭難した男性が、シラカンバの倒木を集め、必死の思いでこしらえた「SOS」の文字が、5年後の別の遭難事件の際に見つかった、という決着を見たのです。

「たーすーけーてー」のカセットテープ音声が耳について、布団を頭からかぶってもうまく寝つけなかった当時の子どもたちは、その頃すでに高校生や大学生になっていました。CD(コンパクトディスク)やMD(ミニディスク)が普及し、若者のあいだでカセットテープを使う人はほとんどいない時代でした。

「大雪山SOS事件」のテープに関する世間の記憶

「SOS」は過去の遭難事故の遺物だった
あまりにもインパクトのある録音だったので、「大雪山SOS遭難事件」の記憶を語る2000年当時の若者たちは、SOS事件に関する記憶の曖昧さはあるものの、とにかく声が怖かった、と当時を振り返っています。

名無しさん@お腹いっぱい。:2000/12/14(木) 17:24
俺がガキの頃の事件だから、どういう事件かは分からなかったけど、
テープの声が滅茶苦茶恐いのは覚えてる。

遭難した男がオタクだったってのは初めて知った。
日記が見つかったって噂聞いたことあるけど、それはガセ?

出典: http://mimizun.com/log/2ch/company/976780867/ |

名無しさん:2000/12/14(木) 21:36
みんな忘れているな!!
これマジネタだぞ!
捜索中、女の骨も発見された。
無理心中かと疑えたが、しかし、死んだ時期が違うので偶然と扱えられた。
お互いにくまに喰われた後あり。しかし、死者が呼んだみたいですね・・・。
ここが、オカルト連中が引かれるとこなのさ。

出典: http://mimizun.com/log/2ch/company/976780867/ |
また、ツイッターでもこんな声が上がっています。

異なる遭難事故が重なった謎――旭岳の魔のトラップ

それにしても、男性2名が遭難していたポイントとあまり変わらない地点に、まったくの別人が「SOS」の文字を遺していたのは少し不思議ですね。

北海道大雪山系旭岳には、実は多くの登山者を惑わす「魔のトラップ」が存在していました。一度その罠にハマってしまうと、誰もが似たようなコースをたどって遭難してしまうのです。つまり「大雪山SOS遭難事件」は、大自然のイタズラが引き起こした事件とも言えそうです。

ここでは、旭岳の魔のトラップ「にせ金庫岩」について詳しく触れていきましょう。

北海道大雪山系「旭岳」とは?

旭岳は「大雪山連峰」と呼ばれる広大な山岳群の主峰で、標高は2291m(調査時点によって多少の変化がある)。北海道の最高峰の山として広く知られています。

ロープウェイを使った手軽な登山が楽しめるわりに、本州では3000m級の山でしか見られないような高山植物や、運が良ければ白と薄茶の縞模様が愛らしいシマリスの観察も可能で、山頂からは雄大な北海道の大地が一望できることから、多くの人々に愛されています。

シマリス(縞栗鼠、Tamias)は、哺乳綱ネズミ目リス科シマリス属に分類されるリスの総称。 日本では、その中でも特にアジアに分布し、亜種が日本国内にも生息するシベリアシマリス (Tamias sibiricus) を指してシマリスと呼ぶ。 体に縞があり、頬袋をもつ小型のリスである。シマリス属には24-25種が属しており、アジアのシベリアシマリスを除き、すべての種が北アメリカに分布する。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%83%AA... |

帰り道の道しるべ「金庫岩」

山頂からロープウェイに戻るためには、「金庫岩」という目印の岩から伸びる尾根沿いの帰り道を辿らなければなりません。

金庫岩は、山頂から戻る登山者から見て右手に見える四角い岩で、金庫岩のすぐ真下には、火山のダイナミックさを実感できる巨大なカルデラ(火山活動によってできた巨大なくぼみ)を見ることができます。

悪魔のトラップ「にせ金庫岩」

山頂の天候が悪いと、モヤがかかって「金庫岩」を見落とすことがあります。「金庫岩」を見逃して違う道を行ってしまった場合、「金庫岩」がいつまで経っても見つからないことに不安を覚え、普通なら元の場所に引き返す選択をするでしょう。

ところが旭岳には、そうした登山者の冷静な判断を狂わす悪魔のトラップが存在するのです。右手に見えるはずの金庫岩を見落として、そのままズルズルと道なりに進んでしまうと、金庫岩からそう離れていない地点で、突き当たりに「にせ金庫岩」が姿を現すのです。

「にせ金庫岩」からの遭難ルートは一定している

「にせ金庫岩」からの遭難ルートは一定している
上の写真は、山頂と「金庫岩」、「にせ金庫岩」の位置関係を表したものです。とても近い位置に、二つの岩が存在していますね。これだけ近いと、「金庫岩」を見落としたことに気づかないまま、「にせ金庫岩」の悪魔の招きに引きずり込まれるのも無理はなさそうです。
「にせ金庫岩」からの遭難ルートは一定している
上の写真は、さらに引いたアングルで見たもの。

「にせ金庫岩」から「SOS」の文字があった遭難事件現場まではかなり離れていますが、途中に細い渓流が流れる谷が続くため、ルートを間違えてしまった登山者は、自然と谷沿いに下山してしまい、「SOS事件地点」方向に吸い込まれるように進んでしまうのです。

男性2名の遭難者は、「これは違う道だ」と気づくタイミングが少し遅れてしまったために、「SOS事件地点」にかなり近い場所まで降りてしまいました。そのため、北海道警は彼ら2名が「SOS」を作ったのだろうと誤解したのです。

SOS事件遭難者は、ナゼ脱出できなかったのか

SOS事件遭難者は、ナゼ脱出できなかったのか
SOS遭難事件発生地点の上部に存在する斜面は、ふもとに向かって横倒しになっているササ原であることがわかっており、下山時はスムースに進めても、山頂を目指して登るのは困難だったようです。遭難者のテープの声にも、そのことに言及している部分がありました。

さらに、SOS事件地点から先は高さのある急斜面になっていて、これを体力を消耗した人間が一人で降りるのは至難の業(わざ)です。別アングルから捉えた斜面の様子を見ても、遭難事件現場にたどり着くまでに、体力的にも精神的にも追い込まれていただろうことが想像できます。

遭難地点上部の斜面は、横倒しに生育するササ原になっており、上部から下部へ進入しやすいが、下部から上部へは登りづらいこと、さらに遭難箇所の下部が崖状になっており脱出しにくい地形であることも判明。このことは、遭難が発覚した数日後、現地を訪れた某報道機関の取材班が二重遭難(全員無事)したことからも裏付けられた。SOSの文字を作っていた倒木は、当年の秋を待って警察当局により撤去されている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/SOS%E9%81%AD%E9%9B%A3%E4%BA... |

シラカンバ集めは遭難翌日に行った?

SOS事件の遭難者は手軽な登山を想定していたでしょうから、十分な灯(あかり)や食糧やを持っていたとも考えにくく、遭難地点にたどり着いた時点でかなり日が暮れていたことも想像されるので、そこからシラカンバの倒木を集めるのは困難だったと思われます。

野生動物の襲来に警戒しながら、まんじりともせずに一夜を明かし、疲れ切った体を引きずってシラカンバの倒木を集めた、と考えるのが自然なようです。

どうしてテープに声を録音した?

「大雪山SOS遭難事件」では、遭難者が最後の声を振り絞るようにしてカセットテープに録音し、電池の続く限り大音量で再生することで、誰かの耳に留まることを期待したのではないか、と考えられています。

助けを求めるために自力で大声を出し続けても、いつかは声が枯れてしまいます。また、水や食糧もなかったでしょうから、大声を出し続けることが困難だったのでしょう。

しかしながら、そんな彼の願いは届きませんでした。遭難した青年は誰にも発見されないまま、やがてその場で絶命してしまったのです。

一つの推測として、テープレコーダーに大声で録音したものをボリューム最大で再生すれば、地声による「SOS」よりも誰かの耳に止まる可能性が高いと考えたということがあげられる。

また男性の声がヘリコプターに言及しているため、遭難して崖の上にいる状況でヘリコプターが飛んでいるのを見て声を出して動いている際、バッグの中で偶然カセットテープレコーダーの録音スイッチが入ったため声が録音されたのではないか、との説もある。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/SOS%E9%81%AD%E9%9B%A3%E4%BA... |

大雪山SOS遭難事件は「オタク史」の重要事件!?

唐突ですが、みなさんは「宅八郎」をご存知ですか?

平成元年(1989年)の夏は、宮崎勤による「埼玉幼女連続誘拐殺人事件」と「大雪山SOS遭難事件」が話題になっていました。宅八郎は、宮崎勤事件でクローズアップされた「オタク文化」のアイコンとして、翌平成2年(1990年)からテレビで活躍したオタク評論家です。

「大雪山SOS遭難事件」は、遭難者が録音したカセットテープに有名なアニメの主題歌が録音されていたこと、そしてカセットテープのケースにアニメのシールが貼られていたことから、「オタク文化史」の黎明期に起きた重要事件、と考える人もいるようです。

事件遭難者のテープに録音されていたアニメソング

大雪山SOS遭難事件の遭難者は、アニメソング集として作成したカセットテープに、救助を求める声を録音していたことが分かっています。

具体的には、救助要請の録音部分から先には『超時空要塞マクロス』の主題歌や、『魔法のプリンセス・ミンキーモモ』の主題歌などが収録されていました。

カセットテープケースにもアニメキャラが

また、カセットテープケースには先ほど紹介した『ミンキーモモ』の絵が貼られていました。
事件遭難者のテープに録音されていたアニメソング
この時代は、20代の多くの若者が日本の優れたアニメ番組や戦隊シリーズ番組を子どもの頃から堪能していた影響で、明るみになる以前から「オタク文化」が静かに培われていたのです。

遭難者は1984年当時に25歳だったことが判明していますので、『マジンガーZ』、『科学忍者隊ガッチャマン』、『ドラえもん』、『宇宙戦艦ヤマト』、『機動戦士ガンダム』、『タイムボカン』シリーズなどのアニメに慣れ親しんだ世代といえるでしょう。

「SOS事件はアニメのエピソードを参考にした」説

『鉄腕アトム』の有名エピソード「月のうらの秘密」(別タイトル「イワンのばかの巻」)は、月面で倒木を利用して「SOS」を作ったシーンが、大雪山SOS遭難事件とウリ二つの状況だとして、一部のアニメファンの間で話題になりました。

遭難者が大のアニメファンだったらしいことから、咄嗟に『鉄腕アトム』のシーンを思い浮かべて実際に試したのではないかと、まことしやかに囁かれていたといいます。

この状況がまさに先の大雪山SOS遭難事件と瓜二つであったことから、遭難した人物はマンガオタクであり、『鉄腕アトム』のこのお話を知っていたのではないかと推理する人が多くいた。

出典: https://tezukaosamu.net/jp/mushi/201806/column.html |

人々の関心を惹きつけるSOS遭難者の痕跡

「大雪山SOS遭難事件」は、音声の生々しさ、女性がいたのではないかというミステリアスな状況、並々ならぬアニメファンだったことを示唆する遺留品などから、さまざまな憶測が飛び交いました。

名前も顔も知らない、愛知県在住の会社員。事故当時25歳だった彼が遺したものの本質は、SOSの巨大文字や数々の遺留品といったリアルな痕跡を飛び超えて、「彼は一体どんな人だったのか」という尽きせぬ興味にこそあったのかもしれません。

「SOS」にまつわるマメ知識

平成29年(2017年)5月26日、イギリスBBCニュースは、オーストラリア西北部「スウィフト湾」近くの原野に、石で形づくられた巨大な「SOS」が発見されたものの、付近から遭難者が見つからなかったニュースを世界に配信しました。

もともとは海難事故発生時のモールス信号として使われていた「SOS」ですが、現在では海だけでなく、地上でも「大雪山SOS遭難事件」と同様に、巨大文字をつくって救助を待った例がいくつも存在しています。


ちなみに「SOS」ってどんな意味?

ところで、「SOS」にはそもそもどういう意味があるのでしょうか。

「SOS」は、もともと船舶の遭難信号として使われていたモールス信号「・・・― ― ― ・・・」を3分割したとき、「・・・」が「S」、「― ― ―」が「O」と読めるため、簡単に「SOS」と呼称するようになったのが由来のようです。

”Save Our Souls"(命を救ってください)とか"Save Our Ships"(私たちの船を助けてください)の略語として捉える誤解もあるようですが、「SOS」にそのような意味はなかったのです。

SOS(エスオーエス)は、かつて船舶を中心に用いられていたモールス符号による遭難信号である。現代では遭難に限らず助けを求める合図として使用されることがある。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/SOS |

世界で初めて使用された「SOS」はタイタニック?

世界で初めて「SOS」信号を打ったのは、かの有名な「タイタニック号」だ――。

こう聞くと、何かとても得した気分になれるのでうっかりと信じてしまいそうですが、この話は正確なものではないようです。

世界初の「SOS」には諸説あり、アゾレス諸島沖で難破した「スラボニア号」(1909年6月)、アメリカ東海岸ハッテラス岬沖でプロペラが故障した「アラパホ号」(1909年8月)とも言われています。

ただし、これには通信機器会社の宣伝効果を狙った「フェイクニュース」が広まった可能性も指摘されており、真相は定かではありません。その3年後、北大西洋上で氷山に激突したタイタニック号(1912年)が世界初、という噂もまた、脚色された話のようです。

遭難者不在の「SOS」はミステリーになりやすい

巨大な「SOS」文字が発見されたにも関わらず、そこから遭難者が見つからなかったケースでは、遭難者の安否はもちろんのこと、「ミステリーサークル」のようなイタズラも想定しなければならないので、特にニュースになりやすいようです。

「誰かが作った痕跡はある、しかしその誰かがわからない」。こうしたケースに、私たちはミステリアスな魅力を感じてしまうのです。古代遺跡にロマンを感じるのも、いまは存在しない遠い昔の人間の痕跡が、生々しい人間活動のぬくもりを、いまを生きる私たちに伝えてくれるからなのでしょう。

大雪山SOS遭難事件を振り返る――平成の終わりに

小学生の頃、「タイムカプセル」を作った経験はありませんか? いま感じている気持ちを作文にしたり、絵に描いたりして、数十年後の自分が見るために地中に埋める――。

大雪山SOS遭難事件は、確かにある男性が不幸にも亡くなってしまった悲しい事件です。しかし、彼が遺した「SOS」の文字と、彼の趣味を物語る遺留品の数々によって、私たちの多くはこの事件を興味深く振り返ってしまうのです。

この記事の掲載月は平成31年4月。平成が終わり、「令和時代」が始まろうとしているいま、昭和の息吹を平成元年に再発見した事件をあらためて振り返っている。こうした「閉じ込められた時間を、再び開ける」という作業に、私たちは抗しがたい魅力を感じるのかもしれません。

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