王将大東隆行社長射殺事件とは?

京都の街中で未明の朝方に、王将の大東隆行社長という著名人が拳銃で射殺されたということで、世間にも大きな衝撃を与えた事件です。
京都府警は大規模な捜査態勢で、現場に残された物証や情報などを基に怨恨や暴力団関係などの捜査を進めていますが、犯人逮捕までにつながる確証が得られぬまま現在に至っています。
事件現場は餃子の王将本社前
王将の大東隆行社長の自宅はこの王将本社から車で10分ほどのところにあり、社長は毎朝5時半ごろに自宅を車で出て王将本社に出社して玄関前などを掃除するのが日課になっていました。
大東隆行社長は王将本社の駐車場で自分の車のドア横に倒れていたので、会社に着いて車を降りた直後に事件に遭ったものと考えられています。12月19日の朝6時少し前、まだ未明の薄暗い時刻に発生した事件です。
捜査本部などによると、大東社長は19日午前5時半ごろ、山科区西野大鳥井町の自宅から自分で車を運転して出るのを妻が見送った。本社前を掃除するのを日課にしていた。
出典: https://www.nikkei.com/article/DGXNZO64352250Q3A221C1CC1000/ |
発見時、大東社長は車の左側約1メートルの位置で倒れていた。車は左ハンドルだったことから、捜査本部は車を降りた直後に銃撃されたとみている。拳銃は見つかっておらず、犯人が持ったまま逃走しているとみられる。
被害者は王将の大東隆行社長
大阪の生まれで、「餃子の王将」の創業者が義兄だったこともあって、1969年、28歳の時に王将1号店に入店します。その後、営業本部長、取締役、常務、専務などを経て2000年に代表取締役社長に就任しました。
社長に就任したころの王将は、400億円以上の負債を抱えて潰れる瀬戸際の状態でした。大東隆行社長は飲食業としての原点回帰を基本にして財務を立て直し、従業員からの信頼も勝ち得て王将を蘇らせました。
今の王将があるのは大東隆行社長なくしては語れないと言われています。そんな大東隆行社長がこの事件で亡くなったことは、王将の従業員をはじめ多くの人に大きなショックを与えました。
10年前、うちの会社は危機だった。470億円の負債を抱えて、つぶれるかどうかの瀬戸際や。僕は3年間は財務の立て直しに精を出し、そして原点回帰を訴えた。店を改装してオープンキッチンを徹底し、作り置きやセントラルキッチンでの調理をやめた。店長の自主性を重んじることにした。それで数字が上がるようになり、借金はほとんどなくなった。
出典: https://president.jp/articles/-/2525 |
いまだ真相は解明できず
京都府警捜査本部はこれまでに延べ16万5千人の捜査員を投入し、事件発生後5年の2018年12月時点でも91人態勢で捜査に取組んでいます。その間、関係者延べ約1900人から事情を聴取し、約610件の情報提供がありましたが捜査は長期化しています。
巧妙な犯人の計画からか捜査が難航、京都府警は引き続き情報の提供を求めています。
王将フードサービスの社長が殺害された事件に関して情報をお寄せ下さい。
出典: http://www.pref.kyoto.jp/fukei/site/sousa/oushou/index.html |
平成25年12月19日(木曜日)早朝、京都市山科区内で会社社長が殺害されました。
防犯カメラ画像等のデータを含め、事件に関する情報をお寄せ下さい。
メールでの情報提供
• 京都府山科警察署捜査本部
• フリーダイヤル:0120-08-9110
• 電話:075-575-0110
王将大東隆行社長射殺事件の詳細
この事件について詳しく解説している書籍に、一橋文哉著の「餃子の王将社長射殺事件」があります。関連人物の背景や、犯人あるいは黒幕の可能性がある人物や組織の関わりなどについて詳細に記述されているので、一読してみるのも良いでしょう。
2013年:餃子の王将本社前で
犯人は大東隆行社長の日常の行動を把握していて、付近の防犯カメラに映らないところで待ち伏せしていたものと考えられます。移動、逃走用に使った盗難バイクもその後発見されています。
大東隆行社長の財布や小銭入れは奪われておらず現金も残っているので、京都府警は強盗目的ではなく、大東隆行社長や王将に恨みを持った者の犯行の可能性が強いとして捜査しています。
大東隆行社長に4発の銃弾
また、日本人であれば確実に命をしとめる場合は刃物を使うのが常とうなので、犯人は外人ではないかという説も有力です。いずれにせよ、残された銃弾などから犯人につながる有力な情報は得られず手掛かりにはなっていません。
現場に残された物証など
事件発生から2年後の2015年12月に、現場近くで発見されていた遺留品のタバコから検出されたDNAが、九州の暴力団組員のものと一致しました。事件当時、現場近くで九州ナンバーの不審な車も確認されていたので九州方面を集中捜査しましたが、犯人特定には至っていません。
用意周到で現場に有力な物証を残さなかった犯人なのか、京都府警をはじめ捜査関係者を悩ませています。
京都府警の捜査状況
現場に残されたタバコのDNAや使用されたみられる自動車などからは、九州、福岡県警とも連携して暴力団関係者などに対しての捜査も行なわれました。
しかし、いまだ解決につながる有力な確証は得られず、12月19日の事件発生日には捜査本部の幹部が事件現場を訪れて献花し、事件解明に向けて新たな誓いをたてる姿が毎年報道されています。
餃子の王将の沿革と現状
加藤朝雄の親族、創業者一族は「餃子の王将」の経営にも関わっていますが、一部の親族が独立して「大阪王将」というチェーン店を展開し競合しているところもあります。それと区別するために「餃子の王将」のなかには「京都王将」と呼称している店舗もあります。
関西を中心に展開していましたが、1970年代後半からは東京地区にも積極的に進出を始め、現在は海外も含めて約700店舗のチェーン店になっています。
1967年京都で開業
事件で殺害された大東隆行社長も28歳の時、この四条大宮店に入店して餃子の王将での修行を始めています。この四条大宮店は餃子の王将の聖地として、全国から王将ファンが集まって、いつも混雑、繁盛しています。
餃子の王将の人気メニューはなんと言っても「餃子」ですが、その他にも「炒飯」や「餃子の王将ラーメン」、「中華飯」、「天津飯」などの基本的な中華料理が人気です。
知る人ぞ知る、餃子の王将第1号店が、ここ『四条大宮店』
— AOまん【あおまん】 (@yuri_923ne) 2016年11月27日
王将ヲタクなので、1度この聖地に行って見たかったのよ!
遅めの昼御飯は、もちろん基本中の基本 餃子定食*\(^o^)/*
店の外には、『餃子の王将発祥の地』の碑がありました! pic.twitter.com/cYhy8koNXd
海外を含め約700店舗を展開
2005年には中華料理の本場、中国大連に進出、6店舗までに拡大させました。日本の店舗であることを強調するために、添付の写真にあるように看板は「ぎょうざの王将」として故意にひらがなを使っています。
中国大連はその後撤退することになりますが、女性をメインターゲットとした新コンセプト店舗「GYOZA OHSHO」を展開するなどして、海外を含め730店舗以上のレストランチェーンになっています。
王将大東隆行社長の人物像は?
事件で殺害されるような、誰かに恨みをかうようなことがあったのでしょうか?あるいは、餃子の王将そのものに怨恨沙汰になるようなことがあったのでしょうか?
お客様を大切にし、従業員からも慕われていたという大東隆行社長の人柄や経歴などを、餃子の王将の運営状況なども含めて調べてみましょう。
王将創業者の義弟
28歳で餃子の王将の1号店に入店する前に薪炭や氷販売業を経営していましたが、これも加藤朝雄の後継として行なっていた商売です。王将でも要職を任され、大東隆行は加藤朝雄からは信頼され、目にかけられていた様子が伺えます。
餃子の王様は創業者一族が要職に就き運営されましたが、3代目社長の加藤潔の時に負債が膨らみ、その子供の貴司は海外へ失踪してしまい黒い噂が付きまとっていると言われています。そんな中で4代目の大東隆行社長の会社建て直しの手腕が高く評価されています。
大東隆行は王将創業家の親族にはなりますが、個人的に恨みを買うようなことは事柄はなく、そのことで殺害されるような人物ではないと言えるでしょう。
大東隆行社長のエピソード
また、直営店の店長やフランチャイズ店のオーナーの名前は全て覚えていて、社員や社員の配偶者の誕生日には贈り物を欠かさなかったと言います。大東隆行社長は数多くの名言を残しています。
従業員を大切にするのは、「自分一人では何もできない。すべては従業員のおかげという感謝の気持ちが大切です。それは経営者じゃなくとも、人の上に立つ人間は誰しもが持ってないといけないでしょう」という言葉に表れているでしょう。
このような人柄の大東隆行社長が、事件で殺害されるとは誰も予想だにしていませんでした。
犯人はだれか?容疑者は?
大東隆行社長や王将関係者の経歴や、現場に残された物証などから考えられる犯人の人物像は、不特定の一般人ではないのである程度の絞り込みができているはずです。犯人は誰か、黒幕は、容疑者は、謎に包まれた事件を捜査の各切り口ごとにその内容を紹介しましょう。
大東隆行社長への怨恨?
また、大東隆行社長は伝書鳩を飼育する趣味があって、大きな鳩小屋があり大会でも賞をとるなどしています。鳩を世話する姿などがよく見かけられ、地元でも有名で気さくな人柄から大東隆行社長を悪く言う人はいません。
そんな人柄から、大東隆行社長に怨恨を持つような人は考えられませんが、王将自体の仕事上のことで恨みを持たれて狙われた可能性はあります。
事件発生から4年となった19日、現場となった京都市山科区の本社前には未明から社員や住民らが次々と献花に訪れた。社員は仕事に厳しかった大東さんを思い出し「一致団結してお客さんが喜んでもらえる店にしていく」と誓いを新たにした。
出典: https://mainichi.jp/articles/20171220/k00/00m/040/051000c |
現場で献花した近くの農業、西村幾雄さん(70)も「何年たっても忘れられない。地域のことをよく考えてくれ、悪く言う人なんて聞いたことがなかった」と悼んだ。
餃子の王将への怨恨?
大東隆行社長の死後、この事件についての第三者委員会が設立され、主に王将と反社会勢力との関係について調査しています。その中で、1994年に創業者の長男が3代目社長に就任したころから、創業者一族の関係者に不透明な不動産取引が急激に増えていることが解りました。
その総額は200億円以上が貸付で流出し、そのうちの170億円近くが回収不能に陥っているとのことです。この不適切な取引が社長殺害の要因になっていることも考えられます。
暴力団工藤会関与の疑惑
犯行に小型拳銃が使用されている手口や、九州ナンバーの自動車が防犯カメラに映っていることなどから、捜査本部は犯人の本命とみて色めきたちました。しかし、決定的な証拠にたどり着くことはできず、もちろん立件することもできませんでした。
【京都山科】王将社長射殺、九州の組関係者浮上 年明け待って!?合同捜査 https://t.co/PAtuWpAeN2 #王将社長射殺事件 #京都市山科区 #DNA型 #暴力団 pic.twitter.com/J5qQ2KcpdC
— NEWS MEMORANDUM (@NMemorandum) 2015年12月12日
中国マフィアの関与も
中国マフィアに大東隆行社長が狙われた理由は、大東隆行社長の肝いりの「餃子の王将中国進出」プロジェクトで現地マフィアとの間でいくつかのトラブルがあったからだと言われています。
ただ、日本にまで来て殺すほどの恨みにつながるものかは疑問の残るところです。確たる物証もないので、あくまでも一つの推理に過ぎないと言っても良いでしょう。
犯人が中国マフィアである疑いを濃くするのが、犯行に使われた拳銃だ。25口径の拳銃だとされているが、暴力団など日本の犯罪組織はあまりこの銃を使用しない。警視庁の組織犯罪捜査関係者がいう。
出典: https://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140115/d... |
「25口径は弾丸が小さく、殺傷能力が低い。訓練を積んだ者でなければ相手を死に至らしめることは難しいので、ヤクザが“殺し”に使う拳銃は35口径がほとんど。そもそも暴力団への締め付けが強いこのご時世、暴力団が白昼堂々、犯行に及ぶのはデメリットが大きすぎて考えにくい」
店舗の売り上げや権利にチャイナマフィアが関心を持っていたとすれば、事件の重大な背景だといえる。しかも、「中国のマフィアに多い人民解放軍出身者であれば、訓練されているので、小口径の銃の扱いに慣れている」(同前)という。
北朝鮮工作員説
一つの説は、王将が北朝鮮に対してなんらかの資金提供をしていたが、大東隆行社長がその関係を断ち切ろうとして、恨まれて殺されたという説です。
もう一つの説は、王将のこの事件が起こる6日前に北朝鮮のNo.2である張成沢が処刑されたことに関連して、張成沢の息のかかった日本に居るスリーパー・エージェントが殺害されているという説です。
大東隆行社長がスリーパー・エージェントとは考えにくいことですが、二つの事件の発生日が近いことからの推定でしょう。
大東隆行社長はスリーパー・エージェント?
この王将の事件が発生した6日前に処刑された北朝鮮のNo.2の張成沢も、偽名で何度も来日して日本に居る特殊工作員などと接触していたので、処刑を契機にこれらの工作員も粛清の対象とされたという説があります。
大東隆行社長がスリーパー・エージェントだったという仮説の根拠はどこにあるのでしょうか。在日朝鮮人が多い大阪市東成区の生まれで姓が「大東」であることが、この仮説の主な根拠と言われています。「大東」というのは在日朝鮮人が使う姓として知られているとのことです。
ただこれだけの根拠で大東隆行社長がスリーパー・エージェントとする仮説は少し無理がありますが、一つの可能性として京都府警はこの推定に基づいた捜査も行なっているようです。
捜査線上に浮かぶ人物など
王将の3代目の加藤潔社長の長男はウクライナの女性と結婚した後、現在失踪中です。この長男は創業者加藤朝雄の孫なので、創業家一族の相続権に絡んで4代目大東社長となんらかのトラブルが生じ、この事件に妻のルートでロシアマフィアが関与したのではという説もあります。
また、この事件で大東社長が殺害された時の後継社長は渡辺直人常務ですが、この発表が事件当日中に行なわれました。いろいろな手続きが必要な東証一部上場企業としては異例の速さです。会社の内部事情についても捜査本部は当然ですが捜査対象にしています。
餃子の王将の現在と今後の捜査は
京都府警は王将事件を「最重要課題」と位置づけています。「科捜研の女」や「おみやさん」など京都府警を舞台にしたドラマは難題を鮮やかに解決しています。王将事件を担当する刑事たちもプライドをかけて捜査していることでしょう。